ホーム > 読みもの > 試用期間・パート・定年後の再雇用は勤続年数に入る?(年次有給休暇の「継続勤務」)

試用期間・パート・定年後の再雇用は勤続年数に入る?(年次有給休暇の「継続勤務」)

年次有給休暇の日数は、会社で「継続勤務」した年数で決まります。では、試用期間、パートから正社員への切替え、定年後の再雇用をはさんだとき、勤続年数はつながるのでしょうか。一般には、勤務の実態に即して実質的に労働関係が続いていれば、勤続年数は通算されると説明されています。この記事では、労働基準法39条の「継続勤務」の考え方を厚生労働省などの資料で確認し、入社日・切替日・再雇用日を使った日付の例で、勤続年数を何年何か月と数えるのかを表にして示します。給与・手当・退職金・税金の計算は扱いません。

作成: くらしの道具箱(個人運営) 最終確認日: 2026年11月7日 連絡先: [email protected]

「継続勤務」とは何か(条文と厚生労働省の説明)

労働基準法39条1項は、使用者は「雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者」に、10労働日の有給休暇を与えなければならないと定めています。2項では、1年6か月以上継続勤務した労働者に、継続勤務の年数に応じて日数が加算されます(e-Gov法令検索で確認)。つまり、付与日数を決める「勤続年数」は、条文でいう継続勤務の年数のことです。日数の一覧は勤続年数の記事と年次有給休暇の基本の記事にまとめているので、ここでは繰り返しません。

では、継続勤務とは何でしょうか。厚生労働省のQ&Aによると、継続勤務とは会社に在籍している期間のことで、勤務の実態に即して実質的に判断されるものです。実質的に労働関係が続いているかどうかを見る、という説明で、根拠として昭和63年3月14日付けの通達(基発第150号)が示されています。

宮崎労働局のQ&Aには、定年退職者の嘱託としての再雇用や、いわゆる臨時工の本採用について、形式的には前の労働契約と後の労働契約は別のものだが、単なる企業内の身分の切替えであり、実質的には労働関係が継続していると認められる、という説明があります。「別の契約になったから新規採用」と単純には言えないのが、このルールの特徴です。

この記事の日付の数え方

日付の例は、既存の記事と同じ数え方です。雇入れの日を1日目として数え、6か月が終わった日の翌日が最初の付与日(基準日)になります。静岡労働局の例では、4月9日に雇い入れた場合の基準日は10月9日です。2回目以降は、そこから1年ごとです。月で定めた期間は暦に従って計算します(民法143条。年齢計算の記事も参考にしてください)。表の「継続勤務期間」は、起算日から、その行の日付の前日までを数えた、満何年何か月です。

試用期間とパートから正社員への切替え

試用期間は通算して数える

試用期間は、採用したあとの一定期間、仕事への適性を見るために設ける期間です。年次有給休暇の6か月は「雇入れの日」から数えるため、試用期間が終わった日から数え始めるのではなく、採用日から数えます。厚生労働省のモデル就業規則は、第6条で試用期間を設けたうえで「試用期間は、勤続年数に通算する」と定め、第23条では「採用日から6か月間継続勤務し」と書いています。

モデル就業規則は、法律そのものではなく、会社が就業規則を作るときの手本です。実際の取り扱いは、勤務先の就業規則で確認してください。次の表は、このモデル就業規則と同じく、試用期間を通算して数えた例です。

日付できごと採用日(起算日)から数えた継続勤務期間
2026年4月1日採用(試用期間の初日。雇入れの日)起算日(1日目)
2026年7月1日試用期間(3か月)が終わり、本採用3か月
2026年10月1日最初の付与日(基準日)6か月
2027年10月1日2回目の付与日1年6か月

モデル就業規則の考え方では、本採用の日(7月1日)で数え直さないので、最初の付与日は、採用日から6か月が過ぎた翌日の10月1日です。

パートから正社員に切り替わったとき

パートタイム労働者や臨時工などを正社員に切り替えた場合も、厚生労働省は、勤続年数を通算する例にあげています(昭和63年3月14日基発第150号)。モデル就業規則の解説にも、パートから正社員に切り替えた場合などで実質的に労働関係が続いているときは、継続年数に通算される、とあります。切替えの日に勤続年数が0に戻るわけではありません。次の表は、2024年4月1日にパートとして採用され、2026年4月1日に正社員になった人の例です。

日付できごと雇入れの日(2024年4月1日)から数えた継続勤務期間
2024年4月1日パートとして採用(雇入れの日)起算日(1日目)
2024年10月1日最初の付与日6か月
2025年10月1日2回目の付与日1年6か月
2026年4月1日正社員に切替え2年
2026年10月1日切替え後、最初の付与日2年6か月
2027年10月1日次の付与日3年6か月

切替え後の最初の付与日(2026年10月1日)は、2年6か月の区分になります。日数が通常の労働者のものになるか、所定労働日数に応じた比例付与になるかは、付与日(基準日)の時点の週所定労働日数と週所定労働時間で判断されます(モデル就業規則の解説)。大阪府の資料にも、契約の途中で所定労働日数が変わった場合は、変更の時に日数を変える必要はなく、変更後の最初の付与日に、そのときの所定労働日数にもとづく日数を付与すればよい、という説明があります。この例で週5日勤務の正社員になっていれば、2年6か月の区分の通常の労働者の日数(厚生労働省の表では12日)になり、新規採用と同じ10日にはなりません。

定年後の再雇用と有期契約の更新

定年退職したあと、同じ会社に嘱託や契約社員として再雇用される場合も、考え方は同じです。鹿児島労働局のQ&Aは、引き続き雇用する場合は勤続年数を通算するとして、改めて再雇用から6か月後に付与するといったことはできませんと説明しています。厚生労働省のQ&Aでも、再雇用前からの通算した継続勤務年数で付与日数を決める、とされています。厚生労働省のリーフレットにも、定年退職者を嘱託社員として再雇用した場合などは、継続勤務として扱う必要がある、と書かれています。

再雇用で働き方が変わることもあります。厚生労働省のQ&Aによれば、再雇用後の付与基準日に、週の所定労働日数が4日以下になっている場合は、所定労働日数に応じた比例付与になります。勤続年数は通算で数え、日数はその基準日の働き方で決まる、ということです。

場面日付の例数える起算日2026年10月1日時点の継続勤務期間
定年後の再雇用(間をあけずに)2006年4月1日採用、2026年3月31日定年退職、2026年4月1日再雇用2006年4月1日20年6か月
(参考)同じ例で、再雇用の日から新規採用と同じに数えた場合同上2026年4月1日0年6か月
有期契約の更新(6か月契約)2025年4月1日〜9月30日の契約を、同年10月1日に更新し、その後も更新2025年4月1日1年6か月

2行目は、再雇用の日から新規採用と同じように数えた場合です。労働局が「できません」と説明している扱いなので、比べるために並べました。3行目の有期契約の更新は、契約が更新されて6か月以上に及び、実態として引き続き使用されているときに通算する、とされています(昭和63年通達)。

たとえば1行目の人が、再雇用後に週4日・週の所定労働時間30時間未満の働き方になったとします。2026年10月1日の付与は、20年6か月という通算した区分(6年6か月以上)を使い、日数は週4日の区分で15日です。週5日のままなら20日です(どちらも厚生労働省の表による)。再雇用で働き方が変わっても、勤続年数が0に戻るわけではありません。

間があいたとき、契約と契約のすき間があるとき

退職と再雇用の間に相当の期間がある場合は例外です。埼玉県の労働相談Q&Aは、退職と再雇用の間に相当の期間があり、客観的に労働関係が途切れていると認められる場合は、継続勤務とは考えられないと説明しています(昭和63年3月14日基発第150号)。たとえば2026年3月31日に退職し、2027年4月1日に再雇用された場合のように約1年あくときは、この「相当期間」にあたるかどうかが問題になります。何日以上あけば途切れるという決まった日数は、今回確認した資料には見当たりませんでした。

有期契約を更新する場合のすき間については、厚生労働省の有期契約労働者向けガイドラインに、契約期間の終わりと次の契約の始まりの間に短期間の間隔があっても、それだけで当然に継続勤務が途切れるわけではない、という説明があります。この資料にも、何日までなら短期間といえるのかは書かれていません。また宮崎労働局のQ&Aには、退職金を精算していったん全員を解雇し、その直後に一部の人を再雇用して事業を続けているような場合も、実質的に労働関係が継続しているとして通算する、という説明があります。

在籍出向・休職・転籍・合併の扱い

在籍出向、休職、転籍なども、「在籍期間がつながっているか」で考えます。

場面日付の例数える起算日2026年10月1日時点の継続勤務期間
在籍出向2021年4月1日入社、2024年4月1日〜2026年3月31日は在籍出向、2026年4月1日に元の会社へ戻る2021年4月1日5年6か月
休職からの復職2022年4月1日入社、2025年4月1日〜9月30日は休職(在籍のまま)、2025年10月1日に復職2022年4月1日4年6か月
転籍(通算の合意がない場合)2021年4月1日入社、2026年4月1日に別の会社へ転籍転籍先の雇入れの日(2026年4月1日)0年6か月
転籍(通算とする合意がある場合)同上2021年4月1日5年6か月

転籍の2行は、大阪府の資料の説明にもとづく例です。通算とするかどうかの合意の内容は、会社ごとに違います。休職の行は、在籍期間としては通算される例です。年次有給休暇には、もう1つ「全労働日の8割以上出勤」という条件があり、休職や欠勤の期間が出勤率にどう影響するかは別に判断されるため、この記事では出勤率の計算までは扱いません。なお、業務上のけがや病気の療養のための休業、育児休業・介護休業、産前産後の休業は、出勤率の計算で出勤したものとみなされます(労働基準法39条10項)。

勤続年数を数えるときの手順と注意点

  1. 最初の雇入れの日(採用日)を確かめます。試用期間やパートなど、最初の契約が始まった日です。
  2. そのあと、労働契約が実質的に続いているかを確かめます。試用期間から本採用、パートから正社員、正社員から嘱託のように、身分や名称が変わっただけなのか、退職や転籍で別の契約になったのかで、扱いが分かれます。
  3. 間があいている場合は、その長さと、あいた事情を確かめます。
  4. 最初の付与日は、起算日から6か月が過ぎた翌日で、そのあとは1年ごとです。日数の表は勤続年数の記事にあります。
  5. 通常の労働者の日数か、比例付与かは、付与日(基準日)の時点の週所定労働日数と週所定労働時間で判断されます。勤続年数は通算で数え、日数は基準日の働き方で決めると覚えておくと整理しやすくなります。

会社が、法律の基準より有利な内容を就業規則で定めていることもあります。たとえば、付与の基準日を全社員で統一する場合は、本来の基準日より遅くしてはならず、すべて前倒しにする必要がある、と静岡労働局の資料にあります。勤務先の取り扱いは、就業規則で確認してください。退職金や表彰などに使う「勤続年数」は、年次有給休暇の継続勤務とは別に、会社の規程で決められていることがあります。

「再雇用だから有給休暇は0日から」と言われたときなど、判断に迷う場合は、まず就業規則を確認し、会社の人事担当者に理由を尋ねてください。それでも解決しないときは、都道府県労働局や労働基準監督署にお問い合わせください。

よくある質問

試用期間中の勤務は、勤続年数に入りますか?
厚生労働省のモデル就業規則は、「試用期間は、勤続年数に通算する」と定め、年次有給休暇の6か月も採用日から数えています。実際の取り扱いは、勤務先の就業規則で確認してください。
パートから正社員になると、勤続年数は0に戻りますか?
戻りません。パートなどを正社員に切り替えた場合も、実質的に労働関係が続いているときは、勤続年数を通算するとされています。日数は、切替え後の最初の付与日の週所定労働日数と週所定労働時間で判断されます。
定年後の再雇用では、新規採用と同じ扱いになりますか?
引き続き再雇用する場合は、勤続年数を通算します。鹿児島労働局のQ&Aは、再雇用の日から数え直して6か月後に付与する扱いはできない、と説明しています。
退職してから期間をあけて再雇用された場合も、通算されますか?
退職と再雇用の間に相当の期間があり、客観的に労働関係が途切れていると認められる場合は、通算されないことがあります。何日以上あけば途切れるという決まった日数は、今回確認した資料には見当たりませんでした。個別の事情で判断が変わるため、勤務先や労働基準監督署に確認してください。
有期契約の更新の間に数日あいた場合、継続勤務は途切れますか?
厚生労働省のガイドラインには、短期間の間隔を置いたとしても、それだけで当然に継続勤務が途切れるわけではない、とあります。何日までかという線引きは、この資料には書かれていません。
在籍出向中や休職中の期間は、勤続年数に入りますか?
在籍型の出向や、休職後の復職は、勤続年数を通算する例として、厚生労働省のQ&Aにあげられています。ただし、出勤率の条件は別に判断されます。
転籍した場合は、勤続年数が通算されますか?
大阪府の資料は、転籍では転籍元の労働契約が消滅するため、継続勤務の要件は満たさない一方、転籍の合意で通算の扱いにすることは可能としています。転籍の際の合意の内容を確認してください。

参考にした資料

上記は 2026年11月7日 に内容を確認しました。法令・制度は改正されることがあります。

この記事は一般的な解説であり、個別の事案についての労務・法律相談ではありません。年次有給休暇の付与や勤続年数の通算は、就業規則や契約の内容、勤務の実態によって判断が変わります。個別の事案は、勤務先の人事担当、労働基準監督署、社会保険労務士などの専門家にご確認ください。