勤続年数の数え方と年次有給休暇の付与日(6か月・1年6か月…)
勤続年数は、有給休暇がいつ、何日付与されるかや、退職金にかかる税金の計算など、お金や休みに直結する数字です。ところが「入社日から数えるのか」「退職日を含めるのか」「1年未満の端数はどうするのか」は、使われる場面によって答えが違います。この記事では、勤続年数の基本的な数え方と、年次有給休暇の付与日・日数(6か月、1年6か月…)を、労働基準法と厚生労働省の資料にそって整理します。
作成: くらしの道具箱(個人運営) 最終確認日: 2026年11月6日 連絡先: [email protected]
勤続年数の数え方の基本
勤続年数は、一般に、入社した日(雇入れの日)から、数える基準の日までの在籍期間のことです。期間の計算は、暦に従って行います。年齢の計算と同じように、入社した日を1日目として数え、1年の期間は、翌年の入社日に応当する日の前日に満了すると考えます(民法143条の考え方。年齢計算の記事も参考にしてください)。
たとえば2020年4月1日に入社した人は、2026年3月31日の終了時にちょうど6年になり、2026年4月1日から7年目に入ります。次の表は、最終日を含めて数えた期間の例です。
| 入社日 | 最終日(数える基準の日) | 勤続期間 |
|---|---|---|
| 2020年4月1日 | 2026年3月31日 | 6年0か月 |
| 2020年4月1日 | 2026年11月6日 | 6年7か月 |
| 2020年2月29日 | 2026年2月28日 | 6年0か月 |
| 2025年8月31日 | 2026年2月28日 | 0年6か月 |
2020年2月29日入社の人は、平年の2月に応当日がないため、2月28日に満6年となります。2025年8月31日入社の人は、6か月後の応当日(2月31日)がないため、2月の末日である2月28日に満6か月となります。月末に入社した人の端数は、数え方の違いが出やすいところです。
Excelでこの期間を求める場合は、=DATEDIF(入社日, 最終日+1, "Y")のように、最終日に1を足して計算します(エクセルでの計算方法)。
ただし、退職金、表彰、昇給などで使う勤続年数の数え方(試用期間を含めるか、休職期間を除くかなど)は、会社の就業規則や規程で決められています。法律上の数え方とは別に、勤務先の定義を確認してください。
年次有給休暇が付与される日と日数
年次有給休暇(有給休暇)は、労働基準法第39条で定められています。使用者は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければなりません。その後は、継続勤務の年数が1年増えるごとに、付与日数が増えていきます。
| 雇入れの日から起算した継続勤務期間 | 付与される日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10労働日 |
| 1年6か月 | 11労働日 |
| 2年6か月 | 12労働日 |
| 3年6か月 | 14労働日 |
| 4年6か月 | 16労働日 |
| 5年6か月 | 18労働日 |
| 6年6か月以上 | 20労働日 |
これは週5日以上、または週30時間以上働く労働者の日数です。日数の増え方は、6か月で10日、その後は1年ごとに1日、1日、2日、2日、2日、2日と加算され、6年6か月で20日になります。20日が上限です。
付与される「日」の考え方
付与日は、雇入れの日から6か月がたった次の日です。厚生労働省の労働局の資料には、4月9日に雇い入れられた場合、最初の有給休暇は10月9日に発生する(この日を基準日という)という例があります。4月1日入社なら、10月1日が最初の付与日になります。2回目以降は、そこから1年ごとです。
2020年4月1日に入社した人の付与日と日数は、次のようになります。
| 継続勤務期間 | 付与日 | 付与日数 |
|---|---|---|
| 6か月 | 2020年10月1日 | 10日 |
| 1年6か月 | 2021年10月1日 | 11日 |
| 2年6か月 | 2022年10月1日 | 12日 |
| 3年6か月 | 2023年10月1日 | 14日 |
| 4年6か月 | 2024年10月1日 | 16日 |
| 5年6か月 | 2025年10月1日 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 2026年10月1日 | 20日 |
2026年10月1日(6年6か月)で20日になり、以降は毎年10月1日に20日が付与されます。月末に入社した場合は、月末のずれが出ることがあります(たとえば3月31日入社では9月31日がないため、9月30日が6か月の最後の日となり、翌日の10月1日から付与される、という考え方になります)。実際の付与日は、会社の規定と、労働基準監督署などの案内で確認してください。
会社が、法律より有利な取り扱いとして、付与日を前倒しにしたり、全社員の基準日を4月1日などにそろえたりすることもあります。その場合も、法定の基準日より遅くならないようにする必要があります。
「継続勤務」と「出勤率8割」の考え方
継続勤務は、在籍期間のことをいい、実質的に労働関係が続いているかで判断されます。厚生労働省の資料には、次のような場合は勤続年数を通算するとされています(昭和63年3月14日基発第150号)。
- 定年退職した人を、嘱託などで引き続き再採用した場合
- 臨時工などが契約更新で6か月以上、引き続き使用されている場合
- 在籍型の出向をした場合
- 休職したあとに復職した場合
- パートなどを正社員に切り替えた場合
- 合併などで新しい会社に引き継がれた場合
出勤率8割は、出勤した日を全労働日で割って計算します。出勤率が8割に満たなかった期間の翌年は、有給休暇を与えなくてよいとされています(労働基準法39条2項ただし書)。業務上のけがや病気での療養休業、育児休業・介護休業、産前産後の休業は、出勤したものとみなされます(同法39条10項)。
パート・アルバイトの場合(比例付与)
週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(週以外の期間で定める場合は年間216日以下)の労働者には、働く日数に応じた日数が付与されます(労働基準法39条3項、同法施行規則24条の3)。
| 週の所定労働日数 | 年間の所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169〜216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
| 3日 | 121〜168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 2日 | 73〜120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
| 1日 | 48〜72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
週4日以下の勤務でも、週の所定労働時間が30時間以上なら、通常の労働者と同じ日数です。付与日数の判断は、付与日(基準日)の時点での所定労働日数や所定労働時間で行います。
そのほか知っておきたいルール
- 年5日の取得:年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、使用者は、付与日(基準日)から1年以内に、そのうち5日を、時季を定めて取得させなければなりません(労働基準法39条7項)。
- 時間単位の有給休暇:労使協定を結べば、年5日分までを時間単位で与えることができます。
- 有効期限:厚生労働省の資料では、年次有給休暇は、発生日から2年間で時効にかかるとされています。
- 取得の理由:原則として、利用目的を問わず取得できます。事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者が時季を変更できるとされています。
退職金の税金で使う勤続年数
退職金にかかる所得税では、勤続年数は少し違った数え方をします。国税庁によると、退職手当等の支払者のもとで、退職の日まで引き続き勤務した期間の年数で、1年に満たない端数があるときは1年に切り上げます。たとえば勤続6年7か月なら、7年として扱います。
この勤続年数から、退職所得控除額が計算されます。勤続年数が20年以下なら「40万円 × 勤続年数」、20年を超える場合は「800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)」です。計算した額が80万円に満たない場合は、80万円になります。
| 実際の勤続期間 | 税計算上の勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|---|
| 6年7か月 | 7年 | 280万円(40万円 × 7) |
| 20年0か月 | 20年 | 800万円(40万円 × 20) |
| 25年3か月 | 26年 | 1,220万円(800万円 + 70万円 × 6) |
税額は、退職金の額や、役員かどうかなどで変わります。実際の手続きは、勤務先の経理担当や税務署、税理士にご相談ください。
よくある質問
- 入社して何か月後に有給休暇がもらえますか?
- 雇入れの日から6か月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤していれば、6か月が過ぎた次の日(例:4月1日入社なら10月1日)に10労働日が付与されます。
- 出勤率が8割に届かなかった場合は、どうなりますか?
- その期間に続く1年間は、有給休暇を与えなくてよいとされています。ただし、業務上のけがや病気の休業、育児・介護休業、産前産後の休業は、出勤したものとして扱われます。
- パートやアルバイトでも、有給休暇はもらえますか?
- もらえます。週の所定労働日数が少ない場合も、日数に応じた有給休暇が付与されます(比例付与)。週4日以下でも、週の所定労働時間が30時間以上なら、正社員と同じ日数です。
- 契約社員が契約を更新した場合、勤続年数は通算されますか?
- 契約が更新されて、実質的に労働関係が続いている場合は、通算されるとされています。個別の事情で判断が変わることがあるため、勤務先や労働基準監督署に確認してください。
- 有給休暇には期限がありますか?
- 厚生労働省の資料では、発生日から2年間で時効にかかるとされています。前年度分は翌年度に繰り越して使えますが、さらにその翌年度には使えません。
参考にした資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第39条):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(第24条の3):https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023
- 厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有休があると聞きましたが、本当ですか。」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/kijyunhou_6_00001
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「年次有給休暇はどのような場合に、何日与えなければならないのでしょうか?」:https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/yukyu/q1
- 静岡労働局「労働基準法の概要(年次有給休暇)」(基準日の例、年5日の時季指定):https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/kantoku00/kantoku0013
- 厚生労働省「年次有給休暇制度について」(時効、取得単位):https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001005114.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.2732「退職手当等に対する源泉徴収」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732.htm
- e-Gov法令検索「民法」(第143条):https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
上記は 2026年11月6日 に内容を確認しました。法令・制度は改正されることがあります。
この記事は一般的な解説です。有給休暇の付与や勤続年数の通算など、個別の事案の判断は、就業規則や契約の内容によって変わります。迷うときは、勤務先の人事担当、労働基準監督署、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。