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年齢計算ニ関スル法律とは? 満年齢が上がるのは誕生日の前日?

「人は誕生日の前日に年をとる」という話を聞いたことはありませんか。これは俗説ではなく、明治35年にできた「年齢計算ニ関スル法律」と、民法の期間の数え方から導かれる法律上の考え方です。この記事では、短い条文を順にたどりながら、満年齢がいつ上がるのか、2月29日生まれや4月1日生まれの場合はどうなるのかを、具体例で確認します。

作成: くらしの道具箱(個人運営) 最終確認日: 2026年11月6日 連絡先: [email protected]

年齢計算ニ関スル法律のあらまし

年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)は、たった3つの項でできた短い法律です。古い文語体で書かれていますが、現在も効力を持っています。条文を現代の言葉に直すと、次のとおりです。

項条文やさしく言うと
第1項年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス年齢は、生まれた日から数え始めます。
第2項民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス年齢の計算には、民法143条の「暦による期間の計算」のルールを当てはめます。
第3項明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止スそれ以前の布告(明治6年第36号)は廃止します。

つまりこの法律は、年齢そのものの定義を細かく書いているわけではありません。「生まれた日が出発点」であること、そして「期間の数え方は民法に従う」ことの2点だけを決めています。いつ1歳加わるのかは、民法143条を読むことで初めて分かる仕組みです。

なお、年齢を数え年ではなく満年齢で言い表すように努める、という別の法律もあります。こちらは数え年と満年齢の違いの記事で説明しています。

「誕生日の前日に年をとる」と言われる理由

理由は、次の3つの段階を順に当てはめると分かります。

1. 生まれた日が「1日目」になる

第1項により、年齢は出生の日から起算します。ここでいう「日」は暦の上の1日のことで、午前0時に生まれた人も午後11時台に生まれた人も、同じ日が1日目です。一般的には、生まれた時刻は年齢の計算に影響しないと考えられています。

民法140条は、期間を数えるときの原則として「初日は算入しない」と定めています。これに対して年齢の計算は、生まれた日そのものから数え始めます。この点が、年齢の計算の少し特別なところです。

2. 1年という期間は、応当日の前日に終わる

民法143条2項は、年によって期間を定めた場合、その期間は「起算日に応当する日の前日」に満了すると定めています。応当日とは、暦の上で対応する日のことで、年の場合は翌年の同じ月日です。生まれた日が1日目なので、翌年の同じ月日(誕生日)の前日が、ちょうど1年が終わる日になります。

3. 「前日の終わり」と「当日の始まり」は同じ瞬間

期間は、その末日の終了をもって満了します(民法141条)。したがって、誕生日の前日が終わる時刻、つまり前日の午後12時に1年が満了し、満年齢が1つ上がります。この時刻は、誕生日当日の午前0時と同じ瞬間です。法律上は「前日の午後12時」と表現し、日常の感覚では「誕生日になった瞬間」と表現している、というだけの違いです。

この解釈は、国会でも政府が示しています。平成14年の衆議院議員の質問に対する答弁書では、「前日ヲ以テ満了ス」とは前日の午後12時をもって満了することを意味するものと一般に解されていること、年齢が誕生日の前日の午後12時に加算されることは社会の常識と異なるものではないと考えていること、が述べられています。

具体例で確認する(誕生日と年齢が上がる時刻)

2026年を例に、次の誕生日で満16歳になる人と、満18歳になる人の場合をまとめます。「日付で見ると」の列は、カレンダー上でその年齢になっている最初の日です。

生年月日年齢が上がる時(法律上)日付で見ると
2010年1月1日2025年12月31日の終了時(午後12時)2026年1月1日から16歳
2010年4月1日2026年3月31日の終了時2026年4月1日から16歳
2010年4月2日2026年4月1日の終了時2026年4月2日から16歳
2008年2月29日2026年2月28日の終了時2026年3月1日から18歳
2008年2月29日2028年2月28日の終了時2028年2月29日から20歳

表の4行目と5行目は、2月29日生まれの人です。次の見出しで詳しく説明します。

日付だけで年齢を調べるなら、「誕生日の当日から満年齢が1つ上がっている」と考えて問題ありません。前日の午後12時と当日の午前0時は同じ時点だからです。法律上の考え方が結果に響くのは、「満○歳に達した日」のように、日付そのものが条文に書かれている場面です。代表的なものが、学年の区切りです。

2月29日生まれの人はいつ年をとるのか

「2月29日生まれは4年に1回しか年をとらない」という冗談がありますが、法律上はそうなりません。

うるう年の翌年以降を考えます。2月29日に生まれた人の応当日は翌年の2月29日ですが、平年にはその日がありません。民法143条2項ただし書は、月または年で期間を定めた場合に最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了するとしています。そのため、平年は2月の末日、つまり2月28日の終了時に1年が満了します。うるう年は応当日の2月29日があるので、その前日の2月28日の終了時に満了します。結果として、どの年も2月28日の終了時に年齢が上がることになります。

国立天文台の暦Wikiも、平年では「応当する日」がないため2月28日をもって満了し、2月28日の終了とともに年をとると説明しています。毎年きちんと年をとるので、カレンダーの上では平年は3月1日から、うるう年は2月29日から新しい年齢です。

自分で満年齢を求める手順

ふだんの暮らしで満年齢を調べるときは、次の手順で十分です。

  1. 調べたい日の年から、生まれた年を引きます。
  2. 調べたい日が、その年の誕生日より前なら、1を引きます。
  3. 誕生日の当日と、それ以降はそのままです。

たとえば1990年11月7日生まれの人が2026年11月6日に何歳かを調べるとします。2026−1990=36ですが、2026年の誕生日(11月7日)はまだ来ていないので1を引いて、35歳です。翌7日からは36歳になります。法律上の言い方をすると、2026年11月6日の終了時に36歳になる、ということです。

2月29日生まれの人を調べるときは、平年の2月28日までは誕生日前、3月1日以降は誕生日後として扱います。手計算が面倒な場合は、年齢計算ツールを使うと、基準日を指定して満年齢を確認できます。

契約書や規約を読むときの注意

期間の計算に関する民法の規定は、法令や裁判上の命令、あるいは当事者の契約に別段の定めがあれば、そちらが優先されます(民法138条)。保険の約款、会員規約、各種の応募資格などでは「○歳以上」「誕生日の前日まで」「年度末時点で」など、独自の基準日が決められていることがあります。

たとえば「満18歳以上」という条件があっても、基準になるのが申込日なのか、年度初めなのかは書類によって違います。判断に迷うときは、年齢計算の一般論だけで決めつけず、その書類の定義や、窓口・担当部署の案内を確認してください。

よくある質問

本当に誕生日の前日に年をとるのですか?
法律上は、誕生日の前日の終了時(午後12時)に満年齢が1つ上がると一般に解されています。この時刻は誕生日当日の午前0時と同じ瞬間なので、カレンダーの日付で数える場合は「誕生日の当日から1つ上がる」と考えても結果は変わりません。
2月29日生まれの人は4年に1回しか年をとらないのですか?
いいえ。民法143条2項ただし書の考え方により、2月28日の終了時に毎年1つずつ年齢が上がります。カレンダーの上では、平年は3月1日、うるう年は2月29日から新しい年齢です。
生まれた時刻によって、年をとる日が変わりますか?
年齢は「出生の日」から数えるので、一般的には生まれた時刻は関係しないと考えられています。午前0時に生まれた人も午後11時台に生まれた人も、同じ日が1日目です。
法律の条文はどこで確認できますか?
e-Gov法令検索で「年齢計算ニ関スル法律」や「民法」を検索すると、現在有効な条文を読めます。このページの末尾の「参考にした資料」にもリンクを載せています。

参考にした資料

上記は 2026年11月6日 に内容を確認しました。法令・制度は改正されることがあります。

この記事は法令の一般的な解説であり、個別の事案についての法律相談ではありません。契約や手続き、トラブルに関わる場合は、弁護士や関係機関にご相談ください。